あの日の夜
2019年01月15日
いつからだろう。自分の中で錆びていたと思っていた歯車が逆回転し始めたのは。
誰もいない大通りを一人歩いていた。夜もすがら行く当てのない旅を続けている。
握りしめるのは壊れた懐中時計だけだ。時間も場所も何も私を縛ることなどできない。
ずっと昔、思い出となってしまった日々の中で私は確かに笑い泣きできるような、
そんな幸せを送っていたはずだった。
それはまるで、永い夢をみているような。
もう、十分なんだろう。雨が降り出した。
さあ、そろそろいこう。
きっと大丈夫。
あの日自分のために流した涙は、いつかの夜に乾き切ってしまったよ。
私たちは待っているからさ。
追いついて来いよ、ヒーロー。