【Hiatus】
2021年10月24日
何もない場所で手を繋いだ。
僅かに感じた温もりがどこまでも広がっていく。
刹那に生まれた小さい鼓動が集まりぶつかり熱を放つ。
その輝きはどこまでも、どこまでも広がり続ける。
私はそれを「宇宙」と呼んだ。
私の体の半分は水で出来ている。
汗をかいた。
額を流れるそれに鬱陶しさを覚えたが、初冬の風が気づかぬ間に空へ溶かしてくれた。
私から滲み出た水はこうして空へと流れていく。
そのまま雲になるのだろうか。
小さいものを幾つも重ね合わせて出来た六花は、私が歩む道に人知れず腰を据える。
呼吸すらも愛おしく、同時に私がこの世界に居る証になった。
月に手を伸ばす。
3.8cm。
小指にも満たないが、決して取り戻すことは出来ない。
地球も息をしているんだね。
いつかの母の姿に私を重ね、優しく撫でてみた。
「そうだね」
答えてくれた気がしたが、その予感も既に白い呼気になってしまった。