【Giraffe Town】

2021年09月26日

何を求めていたの

何を想っていたの

何を愛していたの


年端も変わらぬ旅人は、いつしか果てない航海へ命を灯し始めた。

疲れも残った体で私が出来ることは、せめてもの手向けとしてその背を見送ることくらいだ。


今日もまた何も残せないままだ。


私が送った昨日の模造品のようなこの時間で、

かの地の生命はどれだけ産声を上げるのか。


果たしてそれは喜びなのか

果たしてそれは悲しみなのか

果たしてそれは後悔なのか

果たしてそれは反撃の狼煙なのか


静かに、静かに


誰もが忘れかけた時、確かに私はここに居ると。


それでも君はここに居たと。


街の端、山の麓。

反射する夜風と三日月と、

どこまでも伸びた影に身を細めた夢の巨獣は


私の心の中で、ゆっくりと目を醒ました。

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