【ラストボルト】
2021年04月23日
動き出した心臓は、多分私だった。
酔い冷めぬ終わりかけの夜、動き出した街。
秒針は私の目の前を駆け足で去って行く。
あの電車は一体何処へ連れて行ってくれるのだろうか。
人の形をした何かに注げるだけの心なんて持ち合わせてはいないけど、
興味だけはいつだって頭の片隅を突いてくるんだ。
とても高い場所にいるような気分だった。
君はまだ見ぬ遠い場所で「さよなら」と呟いた。
どうあがいても孤独な私のままなら、
最期の灯火を誰かに託しても許してほしい。
このまま張り裂けてしまう感情よ。
お願い、私を救って。